2015年3月12日木曜日

ソニーSR-64HXA高音質microSDカード騒動に思うこと



高音質マイクロSDカードSR-64HXAが発売されました。少数ですが購入者の声がネット上に上がっていたので、amazonや価格.comレビューを見て感じたこと、この製品を巡る騒動を通して感じたことを書いてみたいと思います。音質そのものを論じた記事ではないので、ゆるーく読んでください。

買うべき1枚が見つかる、おすすめ記事
XPERIA X Performanceで使えるマイクロSDカードのおすすめ
 私が実際に使用したマイクロSDカードの中から、自信をもってオススメ
Amazonランキング1位~50位のマイクロSDカード、人気の理由と選び方
 売れ筋ランキング上位50の商品から、買うべき1枚をわかりやすく解説





SR-64HXAのアマゾンレビューは38件。購入者の評価はおそらく1件

3月11日現在、Amazonに寄せられたSR-64HXAのレビューは38件。そのうち、ネタが37件、購入したと思われるのは1人でした(Amazonで購入した場合はアイコンが付くのですが、それが無いため購入したと断言はできません)。その方の感想は「ライトユーザーの自分には違いが感じられなかった。本格的に音楽をしている人や、本格的なリスニングを目的とする人のための製品なのかもしれない」といった内容でした。使用機材が書かれていないので、どのような再生環境での感想かはわかりませんが、高音質を実感することはできなかったようです。今後、アマゾンレビューが増えたときに、どのような感想が聞かれるかを楽しみにしたいと思います。願わくは具体的な再生機材を書いていただけるとSR-64HXAが気になっている方にとってより有用な情報になると思うので、Amazonにレビューされる予定の方がいましたらぜひお願いしたいところです。「音質の違いが感じられた」「高音質を実感できなかった」。どちらの意見にせよ注目度は高く、高音質マイクロSD騒動に参加する皆が購入者のレビューを待ち望んでいます。実際にSR-64HXAを購入し、さらにはレビューまで書き込もうとする気概のある人は否定派・肯定派問わず多くないと思われるので、せっかくならば再生に使用した機材などの情報を明示していただけると嬉しいな、と感じました。



価格.comに寄せられたSR-64HXAのレビューは1件

価格.comにも1件のSR-64HXAレビューが寄せられています。その方のレビューでは、効果を実感できたと思われる内容が書かれています。使用機材が書かれていない短い文章なので、感想としてとらえるに留まっているのですが、私が注目したいのは、その方がレビューしている他4件の製品。ハイレゾ対応ウォークマンNW-ZX1、NW-ZX2、ゼンハイザーの最上位イヤホンIE800、Astell&KernのポータブルHi-Fiオーディオプレーヤー、いずれも10万円前後の高価な製品です。これらの製品群を見て、「まさにSR-64HXAがターゲットとして想定していた購入者層なのではないだろうか」と直感しました。

SR-64HXA発表以降、私の関心は「高音質であるか否か」ということよりも、「音質の判断が極めて難しいSR-64HXAをソニーがどのようにして売っていくつもりなのか?」という部分にありました。ソニーだけではありません。店頭で接客販売される方たちが、お客からの鋭い質問にどう回答するのか、どのように購入へと結びつけようというのか。きっと対応に苦慮するだろうから、ソニーはその販売店・販売員の方たちに対してどのようなアドバイスを行うのか。店頭展示の仕方なども気になります。ハイレゾ対応のウォークマンはもちろん、ハイレゾ対応スピーカー、アンプ、オーディオシステムなど、高音質に関心をもつ層が足を運ぶであろう一角でSR-64HXAをアピールするのではないだろうか。などなど、約1万8500円もする高音質マイクロSDカードの売り方、販売戦略に興味があります。



SR-64HXAのターゲットって誰なんだろう?

SR-64HXAが顧客として想定しているのは「マイクロSDカード1枚に1万8500円出せる資金力をもった、音に強いこだわりのあるオーディオファンだけ」だと思っています。付け加えるならば、こうした未知の挑戦に対して、「おもしろい。真偽はわからないけどこの話乗った」とお金を出せる人。これらの層をピンポイントで狙いにいったのがSR-64HXAだと感じました。ストレートに言えば、それだけのお金を出せない(出さない)層、私のようにお金もなければ購入することに関心もない層に対して、最初からアピールする気はないでしょう。結果として大きな話題を呼んだSR-64HXAですが、当初からソニーの目は彼らのほうに向いており、開発チームの思いや目的というのもターゲット層だけを満足させることにあったのではないかと思います。

「音にこだわりがあるからといって、真偽もわからない高音質マイクロSDカードに飛びつくなんて馬鹿げてる」と感じる方がいるかもしれません。それは案外、SR-64HXAを購入した方たちも同じように感じているのではないかと思うのです。「われながら馬鹿げてるけど、買っちゃうんだよなあ~」などと、わかってて買っちゃう“愛すべき馬鹿”。「ソニーって昔からこういうおかしい商品を出すことあるよなあ」とボヤきながら万札2枚を差し出すオジサンの姿が想像できます。私が過ごしてきたほんのわずかなソニー生活なんかよりも、彼らのほうがよっぽどソニーの良い部分、馬鹿げた部分に触れてきて、相当のお金を出してきたのではないかと予想します。オーディオマニア=盲目という見方をされることもあるようですが、彼らだってわかってて楽しんでる部分はあるんじゃないか、と思うのです。私もカネのあるオジサンになったなら、ノリだけで1枚買いたいです。その時にブログをやっていたら、きっと記事も書いてます。


ソニーSR-64HXA microSDXCカード 高音質モデル 64GB Class10



高音質なSR-64HXAも、4K対応のSR-UXA64も、値段はおなじ1万8500円。

マイクロSDカード64GBの最低価格は約4,000円なので、1万8500円というのは高価です。しかし購買力を持つ方々にとっては「高い」「安い」で判断することよりも、「実際に購入してみて満足が得られるかどうか」を確かめることのほうが優先順位は高いのではないかと思います。

ソニーストア(通販)価格だけで見れば、UHS-Iクラス3対応のマイクロSDカード64GB・SR-64UXAも1万8500円で同額です。この製品が必要ない、関心のない人にとっては「高い」と感じるかもしれませんが、アクションカムやXPERIAなどの4K動画撮影に興味のある人たちは購入しています。私のブログを通じても、SR-64UXAや、サンディスクのUHS3対応64GBを買ってくださる方の数というのは少なくありません。

ニーズがあって、数が売れるのであれば、製品としては間違いではないのかもしれません。ではなぜSR-64HXAだけがこれほどの物議を醸しているのかと言えば、「高音質マイクロSDカードと謳いながら、具体的な根拠に乏しい」という部分に因るのではないかと思います。もしも「高音質マイクロSDカード」などの文言がなく、異なった表現、異なったグラフの見せ方であればここまで大きな話題にはならなかったのではとも感じます。音楽、高音質、マイクロSDといった、皆が意見しやすいジャンルに属しているのがSR-64HXAという製品なので、ネットで論じて楽しむには好都合だったという部分も大きいように思います。同じような争点(謳い文句に偽りがあるのではないか)で議論を呼び起こす話題であっても、これがソニーのICレコーダーやGPSユニットのように地味な製品であれば、そもそも議論に参加しようという人の数が少なかったと思います。私もきっとそうでしょう。

SR-64UXA microSDXC64GB UHS-Iクラス3 スピードクラス10 ソニーストア価格:18,500円+税
Amazon価格:13,230円(国内向けパッケージ)、9,980円(海外向けパッケージ)



スポンサーリンク




他社が「高音質マイクロSDカード」を発表したら…?

高音質マイクロSDカードをソニーが出した、というところもポイントです。これを東芝やサンディスク、パナソニックなどの大手他社がやっていたら、また違った反応が得られたと思います。トランセンドやTeam、グリーンハウスのように知名度で一歩譲るメーカーが発表していたら、ひょっとすると一部からはネタ的な意味をふくめて好意的な応援の声が多く上がったかもしれない。そんな風に予想します。
「高音質マイクロSD」とひとくくりに言っても、メーカー各社で考え方や製造方法、製品アピールの仕方は違うでしょう。ひょっとしたらソニーは、アピールの仕方を初期段階で間違えたのかもしれません。ユーザーが納得し得るデータをサンディスクが示していたら、業界大手の地位をまた一歩高めていたことでしょう。先日も200GBのマイクロSDカードを発表し、スマホメモリの明るい未来を感じさせてくれたのがサンディスクです。
サンディスク200GBマイクロSDに保存できる4K動画はどれ位?

今回のソニーの挑戦を受けて、他社の開発チームは「くだらない」と一笑に付しているのでしょうか?それとも、口元をニヤッとさせて、「おもしろい」と笑っているのでしょうか。ライバル企業であれば、他社のチャレンジを温かく迎え入れることなど困難かもしれません。この騒動に対する私の立場を明かすなら、再生機材もSR-64HXAも持たない私が「高音質」の真偽を論じる資格はないと思っているし、周波数解析データの見方や理解すべき用語の勉強もしていない自分に、あのグラフを読み解いて議論に参加することは不可能。「嘘だ」「本当だ」という議論に加わることより、「他社の開発チームの人たちってどう思ってるのかなあ」と一人で妄想を膨らませてみたり、「店頭に立って販売する人たちはきっと苦労するだろうから、ソニーはどのようなアドバイスを彼らに送るのか見物だなあ」などと想像を巡らせることを楽しんでいます。


たった1枚のmicroSDカードで踊れるよろこび

オーディオを好きな人たちが「オーディオマニア」とひとくくりにされたり、アップルが好きなら「アップル信者」の一言でくくられるのは残念だなあと感じています。私もソニー製品が大好きだし、企業として応援したい気持ちはあるけれど、盲目的に「ソニー最高!なんでも買うぜ!」ってわけではありません。とりわけソニーは「迷走」と揶揄されるような製品を数多くリリースしてきた歴史があるわけですから、「これは良いけどこれはダメ」という分別はユーザーの身についているはず。その上で、いろんな人を巻き込みながら拡大し続ける議論の様(さま)を、楽しみながら見守っていれば良いんじゃないかなーというのが、高音質マイクロSDカード騒動を通じて感じた私なりの意見です。批判するもよし、乗っかるもよし、1枚のマイクロSDカードに踊らされて私のようにブログを書いてみるのもアリ、って思います。

最後に、開発チームの皆さんには頑張ってほしいなあと思っています。納得できるいろんな理由があって批判的な意見が目立っているようですが、誰だって高音質であることにメリットを感じるはずなので、最終的にSR-64HXAのチャレンジを成功に導いてくれたら…と願っています。

スポンサーリンク



ソニー SONY|マイクロSDカード全種類&選び方をアドバイス