2017年5月8日月曜日

オールドレンズで使うべきはα7RIIかα7SIIか?迷った結果「α7II」を購入した理由



フルサイズのミラーレスを使って「画角が変化することなく」オールドレンズを遊びたい。そうお考えの方は、α7IIシリーズ3機種のどれを選ぶべきかで悩んでいるはずです。

私は1年ほど迷いに迷った挙句、α7IIを購入しました。α7IIに決めた理由、α7RIIおよびα7SIIをあきらめられた理由を書くことで、オールドレンズ遊びの母艦として購入を検討されているあなたへのアドバイスとなれば幸いです。



「オールドレンズを使いたい」。目的をハッキリさせる


オールドレンズ遊びの母艦としてα7IIシリーズを導入するにあたって、自分の目的をはっきりさせる必要があります。最重要ポイントといってもいいかもしれません。

というのも、ソニーはそれぞれの機種に「魅力的なメリット」を用意していて、目的がハッキリしないあなたのカメラ選びを大いに惑わせます。「アレがあればコレもできる」と夢を見させて上位機種へと誘導させます。

4240万画素の「高解像度」があればトリミング耐性もバッチリだし、裏面照射型CMOSセンサーによる「高感度性能」があれば暗所撮影に対処できそうだ。サイレントシャッターは静かな場所での撮影に有利だろう。といった感じで、α7RIIが欲しくなるはずです。

ISO 409600の圧倒的な「高感度」を手にすれば、見えなかった世界が見えてくる。F11まで絞って夜の街歩きも楽しめそうだ。ビデオ撮影まで視野に入れれば「α7SII」一択だろう、と気持ちが揺れ動いてしまうはずです。

この時点で、あなたは目的を見失っているのかもしれません。

私の目的は「画角変化ナシでオールドレンズを使う」というもの。そのために必要なのがフルサイズミラーレスのα7IIシリーズでした。しかしいつの間にか「高解像度で記録したい」「暗所性能も捨てがたい」といった欲が出てきたのです。

ソニーは「惑わせる生き物」です。あなたが目的を明確にしないかぎりα7RII / α7SIIへの誘惑を振り払うことはできません。オールドレンズを使いたいのか。オールドレンズを高解像度で使いたいのか。オールドレンズを高感度で使いたいのか。

α7IIであなたの目的を満たすことは不可能なのか?ということを自問してみてください。「どうせ買うならフラッグシップを所有したい」という見栄のようなものがカメラ選びを邪魔してはいないか、ご自身に問いかけてみてください。ソニーは惑わせる生き物です。



「15万円の価格差」という現実


α7IIの実売価格は15万円前後。α7RII、α7SIIは30万円前後。15万円の価格差が存在します。

30万円でカメラを買ったとして、それで終わりではありません。予備バッテリーなどのアクセサリー購入を迫られます。

「バカになってやろう」と豪快な気持ちでα7RII / α7SIIを買ったあなたは、「どうせならGマスターレンズも買ってしまえ」「高級機に見合う三脚も揃えてしまえ」と勢いづくはずです。そうなればトータルの出費はカメラボディの倍以上になるでしょう。

15万円で買えるα7IIのことを想像してください。α7RIIをあきらめることができたあなたは、「15万円の余裕」を手にしたも同然です。周辺アクセサリーを揃えるのも気が楽です。ソニー純正のレンズだって買うことができます。

α7IIと、α7RIIおよびα7SIIのあいだに存在する「15万円の価格差」。これをシビアに考えてみてください。決断の末に30万円を投じたとして、その後に身動きをとることはできるのか?

貧乏暮らしをして中古のフェラーリを買うことはできても、それはフェラーリが想定しているターゲットではないかもしれません。ガソリンを入れることもできずに置物と化しては無意味です。

オールドレンズの母艦として使うのなら、MetabonesやVoigtlanderの高品質なマウントアダプターを揃えたくなるはずです。K&F Conceptの安価なアダプターを買い込んで、レンズ1本1本に装着することで「完全Eマウント化」するのも良いでしょう。

そうしたアクセサリーに投じる金銭的余裕を確保できるのか?といった視点をもって、15万円で購入できるα7IIを検討してみるのも良いかもしれません。





「タイミング」を気にしていては、いつまでも買えない


私は5月初頭まで開催されていたキャッシュバックキャンペーンを使って「α7II」を購入しました。

このようなキャンペーンの後には新機種が発表される可能性も考えられます。しかし夏秋ごろに「α7IIIシリーズ」が発表・発売されたとして、私やあなたがそれを即決購入することはできるのでしょうか?

新機種のα7IIIと、それに伴って値下がりしたα7IIの2つで再び迷うのではないでしょうか。α7IIIが先行発表されたとして、あなたは「α7RIII」や「α7SIII」の可能性が気になって、すぐにはα7III購入を決断できないかもしれません。

夏に新機種が発表され、秋に発売されたとして、あなたがそれを買うのはいつ頃になるだろうかと想像してみてください。それまでの半年あるいは1年以上を「何も買わずに待ち続ける」のは、最良の選択肢といえるのか?

15万円で買えるα7IIをひとまず買って、それをじっくりと使い込みながら新機種の発表を心待ちにしてみる。α7IIで感じた不満点を解消してくれる確証をもって、α7RIIやα7SIIへ乗り換えてみる。

そのときα7IIを売却すれば、「15万円の損失」とはなりません。売却によって得られた差額分は「レンタル代金」だったと割り切ってしまえば、α7II購入はハードルが低い上に、とても魅力的な選択肢だと感じられるはずです。



α7IIでも、できることは山ほどある


清水の舞台から飛び降りるつもりでα7RIIを購入した末に、それが置物化してしまっては目も当てられません。α7SIIの高感度性能をいかす機会がふだんの撮影習慣に組み込まれるのかを熟考してみる必要があります。

あれば便利だろう。きっとこうなるだろう。曖昧な妄想と淡い期待を抱きながら30万円を支払うことよりも、コスト的・精神的な余裕を与えてくれるα7IIで「できること」にスポットを当ててみると、意外とそれで間に合ってしまうのだと冷静になれるかもしれません。

「オールドレンズをフルサイズミラーレスで使いたい」。この目的を達成するためには「α7II」で十分でした。


α7RIIとα7SIIを「あきらめることができた」理由


高解像度があればトリミング耐性において有利だろうとも考えますが、フィルムカメラで撮影した写真をトリミングしたことは一度もありません。サイレントシャッターの使用を迫られるシーンは、私にとって数少ないことを思い出しました。α7RIIの購入をあきらめる決心がつきました。

プリント写真の山を見返してみると、日中撮影が圧倒的に多いという事実に気付きました。圧倒的なISO感度でブレを防ぐのも有効ではありますが、「オールドレンズ遊びの母艦」として気軽に楽しむのであれば、α7IIの手振れ補正でも十分です。α7SIIの購入をあきらめる決心が固まりました。

正体のハッキリしない「可能性」や「期待」を消去法でひとつずつ潰していけば、「自分にとって何が必要なのか」「目的は何か」が浮かびあがってくるはず。

パソコンの写真フォルダ、あるいはフィルムカメラで撮影したプリントを見返してみてください。それがあなたの撮影してきた全てです。暗所撮影はどれくらいあるか。暗所で撮影したいと心から感じたことはあったのか。トリミングすることなく観賞することが多かったのではないか。

α7RIIやα7SIIの購入に踏み切れないのは、そこに「あなたの目的」が存在せず、よく分からないけれど「魅力的に映るもの」に惑わされた結果なのかもしれません。





まとめ|迷い続けるのならα7IIで十分かもしれません



α7IIで出来ることはたくさんあります。α7IIを使い込みながら、上位機種への憧れを強めていくこともゲーム的でおもしろいような気がします。

カメラを持って出かけるのが楽しくなる季節。いつまでも迷い続けているのなら。スペックやネット上のレビューで頭の中をいっぱいにしてしまうのなら。

いっそα7IIを購入し、ラフな気持ちで撮影を楽しんでみることをオススメします。

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