2017年2月25日土曜日

UHS-III とはどんな規格?624MB/sで転送できるSDカードの新規格


UHS-IIIとはどのような規格であるかを解説

SDカードのUHS-III 規格をわかりやすく解説。

我々ユーザーにとってどのようなメリットがあるのかをご紹介します。

UHS-IIIとは、2017年2月にSDアソシエーションが発表した高速転送規格(バスインターフェース)です。





UHS-IIIとは?SDカードのバスインターフェイス新規格


SDカードのバスインターフェイス新規格・UHS-IIIが発表されました。

「SDカードの転送速度が飛躍的に向上した」という点で、ユーザーにメリットがある規格です。

従来まではUHS-IとUHS-IIの2つのみ。今回UHS-IIIが発表されたことによって、UHS規格は3兄弟となりました。



UHSは三兄弟。スピードの違い


UHS-I|104MB/秒
UHS-II|312MB/秒
UHS-III|624MB/秒

UHSと呼ばれる規格があります。Ultra High Speedの略。つまり「超高速で転送できる」ことを表す規格。

UHSには3つの階級があります。UHS-I、UHS-II、今回あらたに発表されたUHS-III。以上の3つです。これらは転送速度の最大値が異なります。


UHS-I


基本となるのはUHS-I最大104MB/秒で転送できる高速規格。もっとも普及しており、一般的な規格です。

UHSスピードクラスを意識せずにSDカードを使用しているのであれば、あなたの手元にあるのはUHS-I対応のSDカードです。ワンランク上のUHS-IIは、環境を整えなければ使用できない、最大性能を発揮できないため、一般的な普及に至っていません。

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UHS-II


UHS-IIは、UHS-Iよりもワンランク上の規格。最大312MB/秒で転送できます。UHS-Iと比較して3倍のスピードで転送可能。

UHS-II対応のSDカード・microSDカードは、限られたユーザーにしか普及していません。製品の値段が高いことや、UHS-IIに対応したカードリーダーを用意しなければならない点、USB 3.0環境でなければ最大性能を発揮できないなどの障壁があるためです。

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UHS-III


UHS-IIIは、UHS-IIの上を行く規格。最大624MB/秒で転送できます。UHS-IIと比較して2倍、UHS-Iとの比較では6倍ものスピード差があります。

高速転送は、バッテリー消費の抑制にもつながります。短時間で転送できれば消費電力をおさえられるため、一眼レフやビデオカメラの電池持ちにも貢献します。

SDアソシエーション 公式サイト掲載 バスインターフェース種類



スピードの違い。UHS-IIIの圧倒的な速さ


624MBのファイルサイズをもつ動画が、ここにあると仮定します。

UHS-III対応のSDカードを使えば1秒で転送完了。UHS-II対応のSDならば2秒。UHS-I対応のSDならば6秒かかります。

規定された最大転送速度は、あくまでも理論値です。実際にこれだけのスピードが出せるかは別問題で、製品仕様やPC環境によってもスピードは異なります。



UHS-IIIには下位互換性がある


UHS-IIIは、下位互換性を有しています。

UHS-IやUHS-II対応機器でも、UHS-III対応のSDカードは使用できます。その場合、最大速度624MB/秒での転送はできません。104MB/秒(UHS-I)あるいは312MB/秒(UHS-II)が最大値となります。

UHS-IIIの最大性能を発揮するために最も望ましいのは、UHS-III対応機器とUHS-III対応SDカードの組み合わせで使うこと。これにより最大転送速度624MB/秒でデータ記録できます。



UHS-IIIを使うべき人とは?


高解像度の写真や、4K動画、8K動画、3D 360°VR動画など。大容量データを扱うユーザーにとって、UHS-IIIはメリットの感じられるハイスピードな転送規格です。

UHS-III対応の撮影機器(カメラ・ビデオカメラ)を所有していないユーザーでもメリットを享受できる機会があります。それはパソコンへのデータ転送時。

UHS-III対応のカードリーダーを使用すれば、最大624MB/sの圧倒的ハイスピードで撮影データを転送可能。これにより転送時間を大幅に短縮。ストレスのないデータ移動ができます。



UHS-IIIのメリット&デメリットは?


UHS-IIIのメリットは、高速転送ができること。転送時間の短縮は、バッテリー消費抑制にもつながります。

UHS-IIIのデメリットは、製品価格が高いこと。UHS-IIIの最大性能を発揮できる環境を整える必要があること。

UHS-III対応のSDカードが市場投入される時期、製品が実際に発売される時期は未定です。UHS-IIIの下位規格・UHS-IIの現状はというと、あまり普及していません。その要因は上述したデメリット2点。価格の高さ、導入のハードルです。



UHS規格の違いによる価格差


Extreme PRO 64GB UHS-I 12,800円
Extreme PRO 64GB UHS-II 17,820円

ヨドバシ.comにおける、サンディスク製SDカード64GBの価格です。容量は同じですが、UHS規格の違い、つまり転送速度の違いによって値段は大きく異なります。

Extreme PRO 128GB UHS-I 21,400円
Extreme PRO 64GB UHS-II 34,830円

128GBになると価格差は顕著です。

Extreme PRO 128GB microSDXC UHS-II 53,780円

microSDカードは更に高価。SDカードに比べて小型サイズのmicroSDは、UHS-II対応の128GB価格が5万円を超えます。

左:Extreme PRO UHS-I 右:Extreme PRO UHS-II



UHS-IIIの今後に期待


UHS-IIIの規格発表、速度向上によって得られる利便性は喜ばしいことです。

しかしユーザーにとっては買いやすい値段であることが重要。UHS-IIの普及を阻んでいる要因は価格にあります。UHS-III対応SDカードが発売されたとして、手の届きにくい価格帯であれば、UHS-II以上に普及スピードは遅れるはずです。

UHS-IIIがプロフェッショナルを重点的なターゲットにしているのであれば、価格的な問題は二の次かもしれません。そうだとすれば、UHS-IIIの登場によってUHS-IIの価格が下がることに期待です。

そして、4K/8K動画撮影が一般的になったとき、現在のUHS-I価格程度の安さでUHS-IIIおよびUHS-II対応製品を買うことができれば、ハイスピードな世界がより身近なものになると思われます。




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