2015年4月4日土曜日

microSDカード128GBを激安3000円で買ってはいけない理由



海外オークションのebay(イーベイ)では、128GBのマイクロSDカードが3,000円程度で出品されています。128GBの相場は最低でも1万円以上です。安さに釣られてあやしいmicroSDカードを購入すると、どういったトラブルが起こり得るのかを解説したいと思います。ebayや海外ネットショップの送金方法(PayPal)や、個人輸入の魅力についても語っています。スマホ端末やアクセサリーなどの海外通販に興味のある方は、ぜひご覧下さい。

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破格!28.88ドル(3,498円)の激安microSDカードがebayに出品されている

128GBもの超大容量microSDカードをたった28.88ドル(3,498円)で買えたらお得ですよね。「海外出品なら安く買えるんじゃないか?」と思い立って検索した人たちが、出品価格を見て「ラッキー!日本で買うよりも7千円も安い!」と、冷静さを失ってしまう事態は容易に想像できます。国内向けのメーカー正規販売品では、サムスンが1万3480円で最安。輸入品であれば、サンディスクが1万180円、Team(チーム)の製品が1万500円で販売されています(2015年4月3日現在のAmazon販売価格)。これらの数字を見ても、ebayで販売されている3,498円のmicroSDカード128GBは破格だということがわかります。



詐欺出品のmicroSDカード128GB。出品画面はこうして見る

海外オークションサイトebayで「128GBのmicroSDカード」を発見した時のことを想像してご覧ください。




① US $28.88(JPY3,498)
出品価格が28.88ドル、日本円で3,498円であることを表しています。Amazon.com(アメリカ)での通常販売価格は99.99ドルなので、相場の1/3以下の値段。ありえません。
ちなみにebayサイトで日本円が表示されるようになったのはここ数年のことです。日本人参加者を取り込みたいebayの意図が見えます。また、それだけ個人輸入が身近で簡単なものになりつつあることが分かります。

② 90 watching
90名の人たちが、この商品をウォッチリストに入れて観察しています。これだけ多くの人が気になっている理由は、まぎれもなく28.88ドルという破格の値段で128GBマイクロSDカードが買えることにあります。

③ Free Shipping
送料無料であることを表しています。ships to:Worldwideの表記があり、世界中どこでも送料無料です。日本の定型外郵便のようなかたちで送られてきます。Item location(出品地域)はアメリカとなっていましたが、これは出品者の偽装だったようで、発送元は中国だったようです。

④ 40 sold in 24 hours
24時間以内に40個販売されたことを表わしています。24時間で約14万円。日給14万円だと考えると、すごいですね。リスクを冒して詐欺を働きたくなる気持ちも分かる気がします。激安出品に騙されて、彼らのカネ儲けに加担してはいけません。

⑤ 85.2% Positive feedback
良い評価(Positive feedback)の割合が85.2%であることを表しています。これはかなり悪い数字です。出品形態(個人か業者か)にもよりますが、個人であれば100%~99.8%が普通。取引の多い業者であっても、最低99%以上を維持していなければあやしいという判断ができます(経験上)。99%を下回る出品者は何か重大なトラブルを犯した可能性が高く、85.2%という数字は論外であると言えます。
モザイクをかけた出品者IDの隣にある数字は評価数です。20件しか取引経験のない出品者が、128GBのmicroSDカードを3千円台で販売していることがおかしな話で、真っ先に詐欺を疑うべきでしょう。この出品者は良い評価を稼ぐために安価なセルフィースティック(自撮り棒)を販売し、評価数20を得ていました。評価ゼロでは怪しまれますが、ある程度の評価数を稼いでから詐欺を働くというのは常套手段です。



3,498円のmicroSDは詐欺だった!クレーム、悪い評価の雨嵐

激安マイクロSDカードの顛末を見守るべく、落札者評価をチェックしていました。案の定、商品を受け取った落札者からは、Negative feedback(悪い評価)の嵐です。


落札者の声をまとめると、「偽物だった」「転送速度が1.73MB/秒しか出ない」「出品地域はUnited Statesとなっていたが、発送は中国からだった」「本物ではなく、転送スピードも極端に遅い」などなど。どうやら、原価が非常に安い8GBのmicroSDカード、しかも転送スピードがめちゃくちゃ遅い(スピードクラス2)の製品を、サンディスクのmicroSDカード128GB(UHS-I対応、スピードクラス10)に偽装して販売していたようです。

落札者の中には「問題なし」とのことでpositive feedbackを与えている人もいましたが、おそらく彼は転送速度や容量についての十分な確認を行っておらず、正規の128GBを入手できたと錯覚しているのでしょう。詐欺出品者の思うつぼです。


ebay初心者だけじゃない。取引に慣れたebay中級者こそ注意が必要

騙された人たちの取引評価数を見ると、取引評価1件の初心者が2名います。ふだんはebayを利用しない彼らも、28.88ドルという安さにつられて落札してしまったのでしょう。初心者は注意が必要です。いちばん気をつけたいのが、ebayでの取引に慣れてきた中級者です。評価数300件以下の方がこれに当てはまるでしょうか。彼らは取引に慣れているぶん、警戒心を失っている場合があります。また、「自分だけがお得な出品を見つけた」「Amazon.comや日本では考えられない安値で売られている」などと冷静さを見失ってしまう場合が考えられます。出品地域がアメリカであれば安心し、中国であれば「現地工場からの横流し品を捨て値で販売しているのだろう」と都合の良い解釈を交えることもできます。

28.88ドル(3,498円)という価格設定も絶妙です。この金額であれば、「万が一偽物であっても諦めがつく」、と考えて落札してしまう人は多いでしょう。結果的に偽物が送られてきても、トラブル申告を手間と考え、返金を諦めてしまうのです。これが60ドルであれば、状況はまた違ってくるはずです。日本円で約7,200円ともなれば購入を躊躇(ためら)うだろうし、届いた商品が偽物だとわかった時にはクレームを出すことになるでしょう。ebayや海外購入(個人輸入)に慣れてきた人ほど、数ある詐欺要素を都合のよい方向へと拡大解釈してしまいがちです。「海外購入の手段を知っている自分には、高価なマイクロSDカードを安く買える権利がある」と錯覚してしまうのは大変危険です。安価な出品を見つけても、じゅうぶんに注意してください。





詐欺出品者はアカウントを削除して逃走

出品者はどうなったのかと言うと、返金対応をせずにそのまま逃走です。「No longer a registered user」とあり、出品者のアカウントが無効であることが分かります。出品時に85.2%だった評価は、さらに暴落して79.5%に。まぎれもなく詐欺出品者の評価であるといえます。
62の良い評価、17の悪い評価が付いています。必ずしも62人が正規品を受け取ったわけではなく、転送速度の遅さに気付いていない、カード容量が128GBではないことに気づかないまま評価をしている可能性が考えられます。

Based in Chinaとあり、出品者の居住地域が中国であることが分かります。アカウントIDも中国人名でした。2006年登録のアカウントで、しかも個人名を堂々と使ったIDなので、休眠アカウントを安く買い取って詐欺に使用したケースが考えられます。あるいは乗っ取りの可能性もあります。詐欺出品者は詐欺で儲けた14万円以上のお金をもって逃走したのです。




落札者の支払ったカネはどうなるのか?

ebayの支払いは、基本的にPayPal(ペイパル)という送金システムを介して行われます。PayPalには買い手を保護する「Buyer Protection(バイヤー・プロテクション)」というプログラムがあり、詐欺やトラブルが生じた際には落札者の保護を最優先してくれます。出品者よりも落札者が安心できることを第一に考え、運営しています。おそらく今回のケースにおいても、バイヤー・プロテクションが適用され、落札者が申請すれば返金対応にはなるはずです。支払ったカネを仲介するPayPalが、詐欺出品者への支払いを凍結し、そのまま落札者へ戻す仕組みです。



ebayでトラブルになると、なにが問題なのか?

これだけド派手な詐欺は珍しいですが、たとえば中古品の状態をめぐってトラブルとなった場合には、出品者と落札者がメールで話し合うことになります。過去の経験から感じることは、明らかに出品者が悪いケースであっても、向こうは譲歩しない、謝罪しない、という例が多かったです。これだけでも結構なストレスになります。スムーズに返品・返金に応じる出品者であっても、日本人のように謝罪を重ねるケースは稀で、後味の悪い取引に終わることがほとんどです。

幸いにも詐欺にあったことはありませんが、商品説明と状態の大きな相違というのは何度か経験があります。そのような場合、普段使わない英語で対応しなければなりません。トラブルに絡む単語や、具体的な箇所を示すための専門用語などを英語で伝えなければならず、大変な手間と時間がかかります。PayPalのカスタマーサポートはアジア圏の人たちです。彼らの日本語能力は相当なもので、聞きとり能力をふくめてかなり優秀であるといえます。しかし、日本語によるトラブル解決の能力が備わっているかといえば話は別で、端的に言って「話にならない」場合がほとんどです。日本人同士でニュアンスを伝えるだけでも大変なことを、日本人と外国人によって行うことは容易ではありません。

PayPalのバイヤー・プロテクションを通じて返金してもらう際には、出品者とのやり取りを英語で行わなければなりません。そこで解決しなければ、カスタマーサポートの外国人にトラブルの内容を正確に伝え、仲介してもらわなければなりません。たいへんな手間と労力を要します。安価な出品につられて偽物を落札したり、商品状態を偽る出品者に遭遇すると、とっても面倒なことになってしまうので注意が必要です。



海外ショップやオークションebayでの購入は怖い?

海外のショップやオークションを通じたやり取りは難しそう、トラブルが怖い、といったイメージがあるかもしれません。難易度を言えば、それほど難しくはありません。購入するだけなら、簡単な中学~高校英語ができれば送金を完了でき、あとは荷物が国際郵便で送られてくるのを待つだけです。基本的にカネさえ支払うことが出来れば、取引の大部分は終了するわけですから、なんら難しいことはありません。国際郵便というのも、荷物追跡のためのトラッキングナンバーを教えてもらって、荷物が今どこにあるのかを逐一把握することができるので心配する必要はそれほどありません。住所はいちいち取引相手やショップに伝える必要はありません。PayPalを通じた支払いの場合、相手は代金受領とともに届け先住所を知ることになるので、こちらからコンタクトを取る手間や必要はありません。万が一、詐欺や商品状態が酷くてトラブルとなった場合でも、PayPalは買い手を保護するBuyer Protection(バイヤー・プロテクション)を用意しているので安心。私も何度かトラブルを経験しましたが、いずれの場合も代金はしっかり戻ってきました。ちゃんとした説明をできれば、お金が戻らず泣き寝入り、という事態は避けることができます。



海外送金は面倒?PayPal登録や英語の住所入力は難しい?

送金が怖い、面倒、難しそう、と心配される方もいるでしょう。しかし、これもカンタンです。Amazonの購入ボタンをぽちっと押すような感覚で、PayPalの支払いもボタンをクリックすれば完了。クレジット(あるいはデビット)からお金が引き落とされ、相手には支払い通知が行くのでこちらから送金完了を伝える必要はありません。

ショップ、オークションを問わず、支払い(送金)はPayPalを通じて行われることがほとんどです。PayPalへの登録は、氏名・住所などの基本事項を英語で入力し、クレジットカード(あるいはデビットカード)を登録するだけでOK。住所を英語入力できるのか、不安を感じるかもしれません。しかし、基本的には日本の配達員が理解できればOKなので、難しく考える必要はまったくありません。「千葉県」であればChiba、Chiba-ken、Chiba Pref、どれでも大丈夫でしょう。「千葉県浦安市(Chiba Urayasu city)」だろうが、「浦安市千葉県(Urayasu city Chiba)」だろうが、住所が分かれば荷物は届きます。住所の書き順やフォーマットなどを神経質に考える必要はありません。



海外送金は超カンタン。個人輸入は難しくない!

日本では売られていない商品を購入したり、日本では高く売られている商品を安く手に入れるなどの目的を果たすために、ebayなどの海外オークションやネットショップは非常に有効で魅力的です。私も、趣味の腕時計(SEIKO海外モデル)を海外ネットショップを通じて安く入手したり、日本では手に入りすらいソニーのラジオ(スカイセンサー海外モデル)をebayで落札しました。ebayでは通算2千回近く取引があったのではないかと思います。

なぜそれほど気軽に購入できるのか。PayPalを通じた送金が簡単であること、買い手保護プログラムが整っていること、PayPal登録時に住所などの必要情報を一度入力してしまえば、購入はPayPal支払いボタンを押すだけで送金が完了し、商品到着を待つだけであること。これらの要素が個人輸入の障壁を取り払ってくれていると感じます。日本で入手できないスマホ用ケースを探したり、海外製のスマートフォン端末を購入するなどの目的でebayや海外ネットショップを利用する方も増えているのではと思います。個人輸入はどんどん気軽に行えるようにシステムが整って来ています。興味のある方は、ぜひ一度トライしてみてほしいと思っています。



アメリカ、ロシア、地球の裏側…。外国から荷物が届くドキドキ

外国から商品が届く。このことだけでも、取引開始時はエキサイティングなことに思えました。ワクワクします。アメリカはもちろん、ドイツ、イギリス、ブルガリアなどのヨーロッパ諸国、中国、韓国、ロシアからも難なく商品が届きます。ベネズエラからは船便で3カ月。いつまでも追跡状況が変わらずやきもきさせられたことを思い出します。出品地域によっても国民性や英語の得手不得手などがハッキリしていて面白いです。ロシア・ウクライナ地方の人たちは英語にとことん弱く、トラブル時には英語が通用しないので困惑しました。しかし商品といっしょにチョコレートを入れてくれたりと、海外購入ならではの楽しさに巡りあうこともあります。The Offspring(オフスプリング)の有名な歌「Walla Walla」で歌われたワラワラ(ワシントン州)から荷物が届いたこともあります。

取引を通じてメールのやり取りしたり、交流を深めることもありました。アメリカ在住の出品者は東日本大震災の時にメールをくれて、「この国から祈りを捧げています」と温かい励ましの言葉をかけてくれました(彼は仏教徒でした)。音楽関係の仕事に携わっているネットショップのオーナーからはミュージシャンのピックを送ってもらって、私は代わりに彼の欲しがっていた日本製フィギュアをプレゼントしました。せんべいの詰め合わせを贈ったこともあります。

元MEGADETH(メガデス)のギタリストで日本でも活躍されているマーティ・フリードマン。彼は震災直後にメガデス時代のギターコレクションをすべてebayに出品し、その売上全額を寄付しました。彼がギターを売ったことはこれまでに一度もなく、これが最初で最後だとも語っています。私もその時、彼の出品したアイテムを落札しました。ebayにおける良き思い出のひとつです。



いい事ばかりじゃないけど、悪い事ばかりでもないebay

今回、マイクロSDカード128GBの詐欺出品を発見して、あらためてebayや海外購入では注意が必要だと感じました。しかし警戒心をもったまま慎重に商品を見極めることができれば、日本未発売の商品や入手困難なアイテムを手に入れることが出来るなどのメリットが得られます。日常では出会うことのできない諸外国の人たちと交流ができるのも、海外購入の魅力的なポイントです。どんな国の人であれ、また日本では評判のよくない国であれ、個人間では心の通じ合ったやり取りをすることが可能です。ebayを通じて様々な国の人と取引を重ねてきた私に、「〇〇人は~」「〇〇という国は~」などと一緒くたに語ることはできません。どこの国にも、日本人と同じかそれ以上に心を尽くして温かく接してくれる人はいました。もし私が詐欺にあったとしても、その国がどうだとは決めつけずに、あくまで自分と相手の個人間で起こったことであると判断したいと思っています。

これから海外ネットショップやオークションで商品を購入してみようと考えている方は、詐欺やトラブルに十分注意しつつ、手軽にできる国際交流、海外から商品が届くドキドキを体験していただきたいと思います。取引の数が増えれば、トラブルに遭遇したり、ときには詐欺出品に出会うこともあるでしょう。そんな時こそ冷静に対処して、けっして「〇〇の国は~」などといった偏見にとらわれないでいただきたいと、私は願っています。

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